AIへの危機感から「生産性平均30%向上」の確信へ。
パワーソリューションズがAI-OJTで起こした変革。
従業員数:206名
導入期間:10時間
課題:AIを実務で活用し、アウトプットを出せる人材の育成が急務
導入サービス:AI駆動開発・要件定義コース
対象者:各部門から選抜された、AI活用の伝道師となりうるエース層
ITコンサルティングを主軸に、顧客の課題解決を支援する株式会社パワーソリューションズ様。業界内でAI活用の機運が高まる中、変化の激しい技術をいかに学び実務に接続させるかをテーマとされていました。今回、AI駆動開発のスキルをOJT形式で学ぶ「amoibe OJT」を導入し、生産性向上の確信と社内展開への道筋を描くことができました。今回は、執行役員 オープンイノベーション本部長 鈴木 義晃様にお話を伺いました。
顧客に要望される“AIネイティブ時代”への強い危機感
新條:本日はお時間をいただきありがとうございます。早速ですが、今回の「AI駆動開発コース」導入以前の状況についてお伺いできますでしょうか。貴社内でAI活用に関して、どのような課題感をお持ちでしたか?
鈴木さん:我々はITコンサルティングを生業としていますが、昨今のAIの進化、特に生成AIの潮流には強い危機感を抱いていました。というのも、我々は、AI搭載SaaSのAI活用ではお客様を支援しておりますが、同時により広範な領域でユーザー企業側でもAI活用が進んでいる、という状況が生まれ始めていたからです。
新條:先進的なお客様に先行されている、という感覚があったのですね。
鈴木さん:はい。世の中の流れが明らかに“AIネイティブ”へと向かう中で、バリューチェーン全体で「AIを使わないこと」の方が事業上のリスクが高いと感じていました。もちろん、セキュリティや情報漏洩といった懸念はありますが、それらを理由に活用しないという選択肢はないな、と。
新條:社内では、すでに何かしらのツールを導入されていたのでしょうか?
鈴木さん:AIチャットツールは導入していました。しかし、社員レベルではWeb検索の延長線上にあるような、調べ物をする程度の使い方に留まっていました。本来の目的である「業務におけるアウトプットの創出」という点では、全く活用しきれていないのが実態でした。
新條:やはり、ツールを導入するだけではなかなか活用は進まないものなのですね。
鈴木さん:そうですね。加えて、AI技術は進化のスピードが非常に速いため、社内でタイムリーかつ体系だった研修を用意することが極めて難しい、という課題もありました。このままでは世の中のスピードから取り残されてしまう、という焦りに近い感覚がありましたね。
決め手は「実践」と「本質」。希少な“上流工程特化”というテーマ
新條:なるほど。そうした課題感の中で、数あるサービスからamoibe OJTを選んでいただけた決め手は何だったのでしょうか?
鈴木さん:やはり「OJT」という実践形式である点が大きかったです。動画視聴のような座学だけでは、どうしても知識が身につきにくい。実際に自分の手を動かすハンズオン形式で、AIの可能性を「肌で感じる」必要があると考えていました。
新條:インプットだけでなく、体感的な学びを重視されていたのですね。
鈴木さん:まさに。そして、もう一つの大きな決め手が、テーマが「上流工程」に特化していた点です。生成AIを活用したコーディングなど、開発工程に関する情報は世の中に溢れています。しかし、既に中間解としてのグローバルSaaS活用を進めている当社にとっては、ビジネスの根幹であり、我々が最も価値を発揮すべき「企画」や「要件定義」のような上流工程で、いかにAIを活用するかという具体的なノウハウを学べる機会は、他にほとんどありませんでした。
新條:確かに、その領域はまだ手探りの企業様が多い印象です。
鈴木さん:我々は、お客様の業務を深く理解し、最適なシステムを提案することが求められます。その最上流のプロセスをAIでいかに変革できるか、というテーマは非常に魅力的でした。 また、これは弊社の育成方針にも通じるのですが、我々は新人研修の段階から、特定のツールや言語といった表層的なスキルではなく、その根底にある「普遍的で本質的な考え方」を重視しています。今回のOJTも、単なるツール紹介ではなく、AIとどう向き合い、どう活用していくかという本質的な部分を学べる内容だと感じ、我々の考えと合致しました。
AIの可能性を実感。生産性50%向上を確信するメンバーも
新條:実際にプログラムが始まって、受講された方々の反応はいかがでしたか?
鈴木さん:非常に良かったですね。特に、少ないインプットから、AIが要件定義書やモックUIといった膨大なアウトプットを、驚くほどのスピード感で生成する様子を目の当たりにして、皆「AIの本当の可能性」を実感したようでした。
新條:今回は、各ビジネス部門から中核として動かれているメンバーの方にご参加いただきました。人選にはどのような意図があったのでしょうか。
鈴木さん:各部門から、新しい技術への感度が高く、周囲への影響力があるメンバーを選抜しました。彼らには、今回のOJTで得た知見やスキルを自部門に持ち帰り、社内全体にAI活用を広めていく「伝道師」のような役割を担ってほしい、という狙いがありました。
新條:プログラムの内容についても、ありがたいことに非常に高い評価をいただいています。
鈴木さん:期待以上でしたね。正直、当初はもう少し一般論的な使い方に終始するのかな、と思っていました。しかし、内容は非常に実践的で、AIの癖や上手く使うためのコツといった、教科書には載っていない「生きたノウハウ」を数多く学ぶことができました。この「実践知」に触れられたことが、受講者にとって何よりの収穫だったと思います。
新條:実施後のアンケート結果を拝見して驚いたのですが、受講者の7割がNPSで最高評価の10点を付けてくださっています。特に業務インパクトについては、「平均30%超の生産性向上」が見込めるとご回答いただいており、中には「50%以上のインパクトがある」と回答された方もいらっしゃいました。
鈴木さん:ええ、具体的な成果に繋がるという手応えを感じてくれたようです。実際に、OJT後すぐに受講者から「上流の実務はもちろん、SaaS未適用の開発工程での利用も視野に入れてCursor(AI開発ツール)を使わせてほしい」という申請が上がってきました。得た学びをすぐにでも実践したい、という意識の表れであり、具体的な行動変容に繋がったことを嬉しく思います。
OJTを点で終わらせず、全社展開と顧客価値への還元を目指す
新條:今回のOJTで得られた最大の収穫は何だとお考えですか?
鈴木さん:「AIに対して漠然と抱いていた危機感が、『こう使えば業務を具体的に変革できる』というポジティブなイメージに変わったこと」ですね。これまではどこか他人事だったAI活用が、自分たちの武器になるという確信に変わりました。
新條:OJTで得た学びを、今後どのように展開されていくご予定でしょうか。
鈴木さん:はい、このOJTを単発の点で終わらせるつもりはありません。次のステップとして、受講メンバーに旗振り役となってもらい、まずは社内のコーポレート部門を対象としたAIソリューションの導入プロジェクトを計画しています。
新條:まずは自社で成功事例を作ると。
鈴木さん:その通りです。自分たちで実際に使ってみなければ、お客様に自信を持って提案することはできませんから。社内でAI活用の経験値と成功事例を蓄積することが、次のビジネスに繋がると考えています。将来的には、二つの軸でAI活用を進めていくつもりです。
新條:と言いますと?
鈴木さん:一つは「既存ビジネスの強化」です。DXコンサルティングや受託開発などの既存業務のバリューチェーン全体にAIを積極的に適用し、ローコード等のSaaS活用も合わせてこれまで以上に、生産性を高めていきます。そしてもう一つが「新規ソリューションの創出」。社内で培ったノウハウを基に、お客様へ新たなAIソリューションを提案し、我々が提供できる価値そのものを向上させていきたいと考えています。
新條:素晴らしいですね。今回のOJTが、その大きな未来に向けた重要な一歩となったわけですね。
鈴木さん:はい。今回のOJTは、我々が“AIネイティブ”な組織へと変革していくための、非常に重要な起点になったと確信しています。
新條:本日は、貴重なお話をありがとうございました。