伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様

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「現場主導の OJT」から、プロジェクトで通用する作法の共通言語化へ

 

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従業員数:CTC 単体 5,983名(2025年4月1日現在)
導入期間:3ヶ月

課題:テレワーク下での新人育成の最適化課題/声かけハードルで学習機会が減少
導入サービス:開発エンジニア・Javaコース/インフラエンジニア・AWSコース
対象者:新入社員


 

コロナ禍以降、テレワークが定着する中で、「新人が先輩に相談できない」「先輩も声をかけづらい」という育成の空白が多くの現場で起きています。

今回、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様では名古屋拠点での取り組みをきっかけとし、2025年度入社の新卒エンジニアを対象に広域・社会インフラ事業グループでamoibe OJTを試験導入。知識研修では埋められない「プロジェクトメンバーとしての動き方=作法」を経験として揃えることを狙いました。

本記事では、広域・社会インフラビジネス企画本部 広域・社会インフラプロジェクト統括部長 境野 雅規様、同部長代行(兼)統括課長 鈴木 智様に、導入に至った背景・選定理由・実施後の手応え、そして今後の展望を伺いました。

 

 

テレワークが育成を難しくした「本当の理由」リアルタイムな対応がしづらい、状況が見えない


伊藤:本日はよろしくお願いいたします。まず、皆様のご所属と業務内容について、簡単に教えていただけますでしょうか。

境野さん:私たちが所属しているのは「広域・社会インフラ事業グループ」です。営業を含めて事業のフロントを担う組織で、札幌・仙台・金沢・名古屋・大阪・福岡・広島・沖縄などの地方拠点も含めて幅広く事業を担う組織です。関東圏で言うと、公共系、エネルギー、運輸などのお客様を担当している事業グループになります。

その中で、各エリアの技術・営業組織を横断して、組織内の統制や支援を行うのが私たち「広域・社会インフラプロジェクト統括部」です。支援要素の一つとして、エンジニアの人材育成があります。

伊藤:今回の取り組みに至った背景、育成上の課題感を改めて伺えますか?

境野さん:一番大きいのは、コロナ禍以降のテレワークの定着です。新しいプロジェクトに入った方、特に新入社員に対して、対面での教育機会を十分に確保することが難しくなりました。

リモートでも教育を試みましたが、従来と同じやり方には見直す余地があると感じる場面もありました。そこで名古屋拠点でのトライアルの効果を踏まえて、事業グループ全体で取り組もう、という流れになりました。

伊藤:「教育に割ける時間がない」に加えて、心理的な部分もありますよね。

境野さん:そうですね。対面なら、先輩の状況を見て「今ちょっといいですか?」と自然に声をかけられる。でもリモートだと、そうしたちょっとしたタイミングをつかみにくくなりました。

新入社員側も相手の状況が見えにくいリモート特有の環境から、「忙しいかな…」と配慮して声をかけにくくなる場面がありました。逆に先輩側も、どのタイミングでどこまで関わるべきか判断しづらい状況が生まれていました。

 

 

既存の研修ではカバーしきれなかった「プロジェクトの動き方」

 

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図1|従来の育成イメージ

 

伊藤:導入前、研修面ではどのような取り組みをされていましたか?

境野さん:新入社員については入社後半年ほど、全社研修で技術・社会人としての基礎研修をやっています。

ただ、配属後の「プロジェクトの中でどう振る舞うか」といった実践的な部分については、これまで十分に言語化・体系化されてきませんでした。これはテレワークを導入する以前から潜在している課題で、リモート環境下になったことでより明確になったと感じています。

鈴木さん:事業拡大の過程で中途採用を中心に人材を迎えてきたこともあり、かつては「先輩の実務を手本に実践的に学ぶというスタイルが主流でした。現在は積極的に育成へ投資する方針に変わったのですが、eラーニングなどで「知識」は補えても、実際のプロジェクトをどう進めるかという「経験」をどのように身に着けてもらうかは課題でした。

境野さん:現場の先輩社員も業務優先で新人の育成に十分な時間を確保することが困難になっています。名古屋での試験導入を経て、「プロジェクトメンバーとしての作法」を実務とは切り離した環境でかつ、短期間に学べる点に一番の魅力を感じました。

 

「リアル案件」と「バーチャル」の境界がなくなるほどの没入感


伊藤:今回の研修は仮想環境でプロジェクトを体験する形式ですが、受講者の反応はいかがでしたか?

鈴木さん:驚いたのは、受講者のほとんどが「実際のプロジェクト」と並行して進めていたのですが、彼らのなかにバーチャルとリアルの境界線がほとんどなかったことです。

以前はプロダクト知識など「知識」を入れる研修が中心でした。一方で「経験」は、自分ひとりでは得にくい。普通はプロジェクトを通じて積むものですが、今回は実際のプロジェクトと並走しながら、バーチャルプロジェクトでも経験できる。
実務が本格化する前の1年目の時期に試行錯誤を伴う経験を安全な場所で一度積めたことが、現場配属後の自信に繋がったと感じています。

 

自走力の定義が変わった。AIを駆使し「自分で調べる力」が身につく


伊藤:まだ途中段階だと思いますが、現時点での手応えはありますか?

境野さん:効果が大きく出るのはこれからですが、現場からは一定の効果が聞こえています。例えば、相談する・調整する・確認するといった基本動作に変化が見られる、という声です。

この初期段階で立ち上がった基本行動が、数年後に「新入社員」という肩書きが外れたとき、成長速度にどれくらい寄与するのかは、これから見守りたいですね。

鈴木さん:興味深いのは、メンターのフォローだけでなく、受講者が「自らAIを駆使して調べ、課題を打開しようとする動き」が見られたことです。わからないことは自分で調べて、試行錯誤しながら解決する。この「自走する作法」が身についたことは、大きな収穫でした。

伊藤:amoibe OJTでは、実案件で求められる「自走の型」を体得できるよう、あえて余白を残した設計をしています。今回のような変化が初期段階で見られたことは、将来的な立ち上がり速度や育成効率にもつながる重要な兆しだと感じています。

 

 

現場が「リソース」と「予算」を投資しても導入したい。共通言語がもたらすコスト削減


伊藤:導入にあたって、現場の反省点などはありましたか?

境野さん:今回の受講は「全員が必須で受ける研修」ではなく、希望があれば受けられる形でした。研修の位置づけや優先度について、現場ごとに受け止め方に幅が出た部分はあったと感じています。

結果として、実務とのバランスの取り方に悩むケースも見られました。今後は、研修の目的や位置づけ、業務との優先関係を事前にしっかりと共有した上で進めることが重要だと考えています。

鈴木さん:ただ、最終的には各部署の責任者が「自部署の予算を投資してでも受けさせたい」と判断したことは、amoibe OJTへの高い評価の現れだと思っています。日常業務と研修を両立する必要がある中で、短期間で「プロジェクトの型」を習得できる点が評価されました。

境野さん:実業務と並走するリソースの投資も、1年目だからできる良いタイミングでした。「amoibeでやった進め方で」という共通言語化こそが、現場のコミュニケーションコストを下げる鍵になると期待しています。

 

 

今後の期待「PM育成」「中堅向け」「中途オンボーディング」へ拡張したい

 

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図2|amoibe OJTを中心に、新人から中堅・中途まで一貫した育成基盤を構築

 

伊藤:amoibe OJTへの今後の期待や要望を教えてください。

境野さん:研今回の「プロジェクト内での作法」「メンバーとしての動き方」を学ぶ内容は、進め方も含めて改善しながら継続したいです。

加えて、当社は新入社員だけでなく中堅層や中途社員など幅広い層が活躍しています。中堅向けの研修メニュー、例えばプロジェクト管理に特化して、PMに挑戦する人に「PMの作法・振る舞い」を教えるようなものも検討したいですね。

また、研修を一緒に作る前提で、CTCの企業文化を理解していただき、「CTCではこうしてほしい」というアレンジを加えた形に進化していけるとありがたいです。


鈴木さん:私もほぼ同じです。加えて、将来的にはこの「適切な進め方」を学んだ新人たちが立場や経験年数に関わらず、より良い進め方について建設的な意見交換ができるようになることを期待しています。そうして組織全体の品質が底上げされることを期待しています。

伊藤:全体のお話を通して、育成の部分で近しい課題を抱えている企業は多くいると思います。今回は事例インタビューという形で記事にさせていただくのですが、メッセージがあればいただきたいです。

鈴木さん:私たちは事業拡大に伴い、中途採用が中心でした。その分、人材育成については、今後さらに強化していく余地があると考えています。

採用し、育成する、これは新卒や中途関係なく地続きだと思うので、今後も投資は続けたいです。採用や組織作りのタイミングで似た状況になっている企業は多いと思うので、まさに組織を強くしていく最中の企業にとっては、業界や規模関係なく有益なサービスだと思います。