“調べ物レベルから実務活用”へ。
開発業務におけるAI活用のイメージをつかんだ研修とは

従業員数:510名
導入期間:10時間
課題:業務にどこからAI活用を取り入れるべきか、求められるレベル感が不明といった危機感
導入サービス:AI駆動開発・要件定義コース
対象者:SI領域を担当するエンジニア
AI 活用が急速に進む中、システム開発の現場では「どこから AI を取り入れるべきか」「どのレベルのスキルが必要なのか」といった悩みが多く聞かれます。今回は、実際に amoibe OJT「AI駆動開発コース(AIDD)」 を受講された 中央システム株式会社 流通サービスシステム事業部 システム第2部 部長の小松様・リーダーの阿部様に、導入の背景から成果まで、お話を伺いました。
AI活用が“必要なのに進まない”理由──現場が抱えていた本音
渡部:本日はよろしくお願いいたします。改めて、今回の「AI駆動開発コース」導入以前の状況についてお伺いできますでしょうか。
小松さん:当社は主に SI 事業・ SaaS や Salesforce を活用した開発やサービスの提供を中心に展開しており、SI事業では製造物流、流通、社会公共など複数の事業部があり、各地方拠点でも対応を行っております。
渡部:となると、昨今のAIの進化を踏まえると、特にSI事業で顧客側からの要望等で、AIを実務に組み込む機会が今後増えそうですね。
阿部さん:まさにそこが課題でして。個々で ChatGPT を使って調べ物をしたり、ちょっとしたコード生成の補佐的な利用をしたり、いわゆる“点”の活用はありましたが、“業務プロセスとして組織的に使う”という段階には至っていませんでした。
小松さん:現場として「AI を使って何かを変えたい」という思いはあったのですが、具体的にどう活用すればいいのかが曖昧でした。プロンプトの書き方も人によってバラバラで、使い方のばらつきも大きかったですね。
Microsoft 365の環境でCopilotが使えるので、Copilotは多少触っていましたが、あくまで調べ物ツールとして「Google検索の代替」に近い活用に留まっていました。
阿部さん: 私は、担当している案件で利用可能だったChatGPTの活用がメインでした。 自分が書いたコードの簡単なレビューや設定の確認など、開発業務の中の一部のタスクでスポット的な活用はしていたものの、「業務フローにきちんと組み込む」レベルには至っていませんでした。
小松さん:一方で、大手ベンダーが AI 活用に力を入れはじめている情報も徐々に入ってきまして、 「このままではいけない」という危機感は強く感じていました。 ただ、「開発業務のフローで横断的にAIを活用する」こと、特に要件定義や設計といった上流工程でどこまで使えるの?のイメージが持てていなかったんです。
他社と一線を画していた。導入決め手になった理由
渡部:導入の際、どこが決め手となりましたでしょうか?
小松さん:一番大きかったのは、「実践形式であること」です。 座学でAIの概要を学ぶだけでは、結局、日常の業務に戻ったときに手が止まってしまう。実際にCursorなどのツールを使いながら、手を動かして学ぶOJT形式であれば、「明日からこう使える」というところまで落とせるのではないかと感じました。
また、今回は要件定義コースを選びましたが、そもそも「上流工程に特化したAI活用」の研修自体がほとんどなかったんです。 開発工程向けのAIコーディングや自動生成の話はあっても、要件定義や構想設計のようなフェーズで、AIとどう協働するのかを体系的に学べる機会は貴重でした。
想像以上にAIに触れる時間が長い2日間で感じた驚き
渡部:実研修では、受講者一人ひとりが実際に Cursorを操作しながら、業務プロセスに沿った要件定義や設計を AI と分業していく流れを体験していただきました。2日間の研修の中で、印象に残っている場面などはございますでしょうか?
小松さん:一言でいうと、「想像以上にハンズオン中心だった」という驚きが大きかったです。 正直、最初は「講義が半分くらいあって、そのあと演習かな」と思っていたのですが、実際は初日からかなりのペースで手を動かす時間が続きました。
2日目に至っては、ほぼ丸一日ハンズオン。市民マラソンだと思って参加したら、いきなり本格的なレースが始まった、という感覚でしたね。
ただ、その分、理解は確実に深まりました。頭で分かったつもりではなく、「AIと一緒に手を動かしながら考える」感覚が2日間でかなり身についたと思います。
阿部さん: 私が特に印象に残っているのは、画面要件を整理するお題で「画面イメージ(モックアップ)」をしたときです。
それまでのお題で整理した情報と、自然言語で指示を伝えただけで、あそこまで意図をくみ取って短時間で期待以上のアウトプットが生成されたときはものすごく驚きました。 社内でも最も感動が大きかったポイントだと思います。

また、他の受講者の操作をリアルタイムで見られたのも良かったです。「こう聞くと AI はこう返すのか」という学びが多く、ラジオのように聞きながら理解できる時間もありました。
渡部:弊社でも、他の方の取り組みから得られる学びの重要性は意識して設計していた点でしたので、そういったお言葉をいただけるのは非常に嬉しいです。
スキル・経験年数を超える“AIとの分業”。生産性20〜30%ほど向上との期待も
渡部:今回 受講した10 名はこれまで経験してきた工程や年数もバラバラなメンバーでしたが、受講された方々の反応はいかがでしたでしょうか?
小松さん:10名の中には、要件定義工程の経験が少ない若手メンバーもいたのですが、リタイアすることなく最後まで学びながら完走することができてよかった、と伺っています。 研修を踏まえ、「自分でもできそうだと感じた」という声も出ていたので、その点は良かったなと思っています。
渡部:研修後のアンケートでも、90%の方に「非常に満足」とご回答いただき、開発生産性への貢献度についてもほとんどの方が「20〜30%程度の向上が見込める」とお答えいただきました。
小松さん:そうですね。私自身もAIの活用方法がガラッと変わりました。 受講前はいまいち自分が求めるアウトプットを作ることができず苦戦していましたが、研修での学びを通じて開発以外の側面でもAIによる生産性向上の期待を実感できています。

AI活用の次の一歩へ──現場で描くこれからの展望
渡部:今後、どのようにAIの活用を組織に浸透されていくか、検討されていることなどはございますか?
小松さん:業務の現場では Excel、Wordなどのツールを利用することも多いですし、独自の帳票など各社の“型”に合わせる必要があり、AI 出力をそのまま使えるわけではありません。ここをどう橋渡しするかは、今後の社内での研究テーマになると思っています。
今回の研修で、要件定義工程におけるAI活用の可能性は十分感じられましたが、実際の現場ではやはり開発工程での活用ニーズも大きいです。
当社ではJavaやAWSの資格取得も推進しており、開発力の底上げはある程度進んできています。 そこに、GitHub Copilotなどを組み合わせて「AIを前提とした開発プロセス」を学べると、現場レベルでの効果はさらに大きくなると感じています。
阿部さん:開発現場としても、「もっと細かい単位で、AIが何をどこまでできるのか」を知りたい、という思いがあります。
例えばレビュー、テスト観点の洗い出し、リファクタリングなど、それぞれの工程ごとにどこまでAIに任せられるのか。そのあたりを実装コースで深掘りできるとありがたいですね。
渡部:ありがとうございます。是非、実装工程でのAI活用の橋渡しでも、お力添えさせていただければと存じます。
本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。